「ホリエモン騒動」に学ぶ

2005/04/16

いわゆる「ホリエモン騒動」については、やや沈静化してきたかのように見えますが、皆さんはどのように受け止め られているでしょうか。

元はと言えば、例のプロ野球の再編劇の中で、突然出てきたホリエモンですが、その後の彼の行動を見ていると、本当に野球を救うためであったかどうか、疑わしいですね。

当時の相手はオリックスの宮内オーナーでしたが、ご存じのとおり、この方も小泉内閣のもとで「規制改革」を叫び、何でも市場経済に委ねること、特に医療に株式会社を参入させたり、「混合診療」をさせて、自分たちのリース業や民間保険の適応拡大などを狙っている張本人です。

その張本人が野球では闇取引の合併劇と 「参入規制」側に廻ったのは皮肉ですが、いずれも経済利害優先の土俵での勝負であったことは、野球ファンならずとも判ります。

その後の「ニッポン放送」を巡る攻防は、このようなご都合主義の旧い経営陣を、株式会社制度のもとでの純粋な市場経済主義が 食い破ろうとする動きにも見えます。そこで持ち出された放送の「公共性」なるものも、所詮は自己利害防衛の隠れ蓑のように聞こえます。

そこからはファンにとっての野球、ファンにとっての放送という姿は見えず、ましてや、両者がやっていることに何の「公共性」もありません。

医療は本来そのような利潤追求を目的としてはならないとされており、放送以上に「公共性」が問われるものです。一方、ホリエモンが「正直」に進めているように株式会社は株主の利潤のためのものです。リスナーのためとか、患者さんのためという目的とは決して相容れないものなのです。それをごまかして儲けようと していた宮内さんたちは、その手の内をあけすけにしてしまったホリエモンに苛立っているのかもしれません。

今、小泉内閣が何故か必死になって進めようとしている「郵政民営化」というのも、果たして誰のための事業か今一度考えてみるべきでしょう。

私たち医療にたずさわる者は、このような市場主義の利害争奪戦に医療が踏み荒らされてはならないと、今更にその思いを強め、本当の意味での「患者さんのための医療」を守り、発展させたいと願っています。

(加古川市 A氏)
[ 2005.04.16 ]