ヤングケアラー
2020/12/14
コロナ・パンデミックや後期高齢者自己負担割合変更などに世間の関心が向いている中で、介護保険制度20年の今、やっと「ヤングケアラー」に陽の目があたって来た。「ヤングケアラー」とは18歳未満で家族の介護を担わざるをえない子ども・若者たちのことを指し、2017年時点で3万7,100人、一説には17万人も存在しているとも言われている。彼らは両親や祖父母だけではなく、障害のある兄弟、姉妹の介護まで行っている。介護の内容も料理、掃除、洗濯などの家事や、食事、着替え、移動の介助に加え、排泄や入浴の介助、通院介助、服薬管理から喀痰吸引まで多岐多彩にわたっている。「ヤングケアラー」が増加してきている要因には家族形態の多様化により、ケアを担える大人が家庭内にいなくなったこと、家庭の経済的困窮やドメスティックバイオレンス、育児ネグレクトなどがある。「ヤングケアラー」は決して美談ではなく、彼ら、彼女らは自らの学業や恋愛、就職などの人生設計を犠牲にして行っているのである。「ヤングケアラー」たちは自らが介護を行っていることを他人に語りたがらず、家族介護を当たり前のことと思い込んでいたり、公的サービスへの知識、情報不足もあって表面化し難いのである。高齢者の生活、介護、人権が問題視される昨今ではあるが、今後は「ヤングケアラー」への対応を重要視すべきである。
(西宮市、Y.K.)