医療法及び医師法の一部を改正する法律

2019/06/05

 平成30年7月25日「医療法及び医師法の一部を改正する法律」が公布され順次施行されている。改正の趣旨は、地域間の医師偏在の解消で地域の医療供給体制の確保を目的に、都道府県の医療計画で医師確保に関する事項の策定、都道府県への臨床研修病院の指定権限及び研修医定員の決定権限の移譲等が付与されている。
 主な具体的な改正内容は①都道府県の医師確保対策の実施体制の強化②医師養成課程を通じた医師確保対策の強化(知事から大学に地域枠・地元枠増加の要請)③外来医療機能の偏在・不足等への対応(外来医療機能の可視化)④医療機関の新規開設や増床等に係る知事の権限追加⑤医師少数地域で勤務した医師を評価する制度などである。本年度中に外来医療偏在指数、外来医師多数区域が示され計画策定作業が行われ、2020年4月から実施される。地域の外来医療提供体制を検討する協議の場の設置も行われる。多数地域での新規開業は、地域の在宅・救急・公衆衛生等に協力する届け出様式に記載し協議の場での確認、従わない場合の、都道府県の医療審議会で意見聴取が行われる。現在の二次医療圏単位の病床の調整だけでなく、外来医療機能の調整会議が行われる。
 全体を通して、行政、都道府県知事の権限が強化され更に管理医療の方向に向かわないか、また厚労省の示す指数(医師偏在指数、外来医療機能指数等)の算出根拠がブラックボックスであり、地域の医療事情を本当に反映しているのか、その指数が行政の都合の良い方向に一人歩きしないか危惧する。
 特に外来医療機能は、二次医療圏域単位でなく一次医療圏域(郡市区単位)での地域の事情と住民目線に立った丁寧な議論が必要と考える。郡市区の医師会・医療関係者が中心となり持続性のある仕組みの構築を期待する。

(加東市 T.S)