超高齢化社会とAPC
2022/02/01
寅(とら)年が始まりました。総務省統計局の推計によると、2022年1月1日現在の寅年生まれの人口は1025万人で、総人口1億2545万人(男性6099万人、女性6447万人)に占める割合は8.2%だそうです。
生まれ年別の寅年の人口は、今年12歳になる2010年生まれは106万人で、団塊ジュニア世代である1974年の198万人からはほぼ半減、コロナ禍で妊娠回避の動きがあり、2022年生まれはさらに大きく落ち込むと言われています。日本の人口が減っていることは十分認識しているつもりでしたが、この数字を見て改めて納得しました。
今の日本は、著明な少子化と平均寿命が伸びる事で、超高齢社会に突入しています。多死の時代を迎える我が国で、近年終末期医療における意思決定支援の取り組みとしてアドバンス・ケア・プランニング(ACP)が注目されています。2018年11月その概念の愛称を厚生労働省が「人生会議」に決定、「自らが望む人生の最終段階における医療・ケアについて、前もって考え、医療・ケアチーム等と繰り返し話し合い共有する取り組み」として、ACPの啓発を推進しています。医師会や自治体でもACPに対する様々な取り組みが行われ、主にどのような看取り、看取られ方が本人にとって望ましいのか等が議論されるようになりました。ここ2年COVID-19の流行により予期せぬ死が現実のものとなりさらに議論が深まっています。私は、厚生労働省の言う「人生会議」の重要性は認識しているつもりですが、何か胡散臭いものも感じ、どうしても積極的ACPを推進する気になれませんでした。ACPは、あくまでも患者さん本人の思いや希望を聞きそれを共有することだと思いますが、現実では、患者さんを中心として、家族、医療者、介護者が、皆集まって会議を開くことは難しく、まず「かかりつけ医」が普段の診察の時間を利用しながら患者さんの考えを聞く事が大事ではないでしょうか。最初から家族同伴などでは、家族に対する気兼ねが有ると思いますが、何気ない会話の中でなら本心を打ち明けてもらえるのではないかと思います。患者さんの考えがある程度分かった状態で家族や介護者にもご本人の考えを共有してもらう事が必要だと考えます。そうすることで最終的には、終末期医療を行う患者さんの幸せ、さらには残される家族や、医療・介護者の負担・後悔を軽減することが可能となると思います。
皆さんに「かかりつけ医」を持ってもらうことが何よりも重要です。