ニュータウンをもう一度
2017/12/19
「ニュータウン」が都市郊外に生まれて半世紀余り。高度経済成長期の1963年、都市部に集中する人口の受け皿となる住宅地を用意するために、新住宅市街地開発法が制定され、同法に基づき自治体や公社などが郊外の丘陵地などに造ったニュータウンは全国に46カ所ある。
2015年国勢調査で比べると、高齢化率の全国平均は26.6%だがニュータウンでは31カ所でそれを上回った。最高は北海道室蘭市の白鳥台ニュータウン(44%)で、7カ所は40%を超える。高齢単身世帯の割合は、全国平均が11.1%だがニュータウンは27カ所で上回る。神戸市と明石市にまたがる明石舞子団地(25%)など7カ所では20%を超え、高齢単身化が加速する。
1967年に入居が始まり、ピーク時の1992年には16万5,000人の人口を数えた。しかし、開発当初に一斉に入居した層が高齢化したうえに子どもたちが巣立ったこともあり、人口減少が急速に進行し空き家が増えている。
高齢化の問題のほか、住宅や施設の老朽化も顕著となり商業施設の遊休化・廃校等による地域の活力低下や、居住者の高齢化に対応したバリアフリー化がなされていないなどの課題も生じている。街の老朽化とともに人口減少と高齢化が進み、店舗の撤退など住民生活への影響も出ている。
この状況を食い止めるには、ニュータウンに若年層を呼び込み幅広い年齢層が暮らす街を目指すことが大切だ。空き家に若年層の入居を促す仕組みができないか。子育て世代が暮らしやすい子供や親に優しい街作りができないか。我々も、小児から高齢者まで安心して暮らせる医療提供体制の構築に尽力しなくてはならない。
街も人も老いて「オールドタウン」と揶揄する向きもある。しかし、せっかく将来を夢見て移り住んだ方々で賑わった街だ。なんとか再生の道を探りたい。