米朝首脳会談

2018/08/01

米国のトランプ大統領と北朝鮮の 金正恩朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談が6月12日、シンガポールで行われました。
皆さんはその結果を見てどう感じられたでしょうか?たいていの評論では、トランプ大統領が自らの行動の素晴らしさを謳うほどの成果はなかったという意見が多いですが…

会談が行われるまでの周囲の期待感はまず、CVID(完全かつ検証可能、不可逆的な非核化)でしたが、結果は、CVIDのC、すなわち『完全な(Complete)』非核化の意思までは確認したが、それより大事な『いつまでに』『どうやって』という内容が入りませんでした。

早速、会談の翌日には北朝鮮中央通信は、両首脳が朝鮮半島非核化のプロセスで、「段階別」、「行動対行動の原則」の原則を守ることが重要という認識で一致したと報道しています。これでは、非核化に向けて何か起こすごとに制裁の解除や、それに対する対価を払うということになってしまいます。(その対価は、利益をこうむる日本と韓国が負担するだろうと言うことまで言及しています)しかも北朝鮮の体制を保証するという内容まで約束したトランプ氏が北朝鮮に求めることが具体的になにもありません。弾道ミサイルの破棄や、開発中止については全く触れていませんし、北朝鮮は具体的になにも駆動していないのに、アメリカはすでに米韓合同演習の中止などの具体的な行動まで起こしてしまいました。
もう一つの懸念は、北朝鮮の非核化の費用(1兆円とも2兆円とも言われておりますが?)を日本が韓国、北朝鮮から、戦後補償、従軍慰安婦問題を掲げて補償金の要求を求められる今までの構図がまた再燃してくることです。拉致家族問題の進展はないのに…。
内政で沢山の汚点を残した安倍首相が、海外での実績といわんばかりに大盤振る舞いをしそうな恐ろしい予想も現実のものとなるのではないでしょうか?
“アメリカファースト”で世界の中でどんどん孤立化しているアメリカに頼っている日本としては、貿易で優遇もしてもらえないし、ただでさえ東南アジア地域での立場が、中国よりも劣っていくばかりと思いますがいかがでしょうか?
このように具体的には全く成果がなかった様ですが、米朝首脳同士が約束を交わし、世界中の人々が見守る中での合意だったということと、北朝鮮にとって、約束を守らなければならないプレッシャーはかなり大きいはずで、史上初めて米朝首脳が直談判をし、約束を交わしたことには、それなりの意味があったと思いたいところです。

たつの市 Y.M.