国会審議について考える

2018/12/04

 入管法案の改正審議についての話題が、昨今マスコミを騒がせている。最近の国会の成り行きを見ていると(特に安保法案成立時以降に顕著だと思うのだが)、与党は期日までに審議を終了しようとし、野党は「審議を急ぐのではなくもっと時間をかけるべきだ」と主張するばかりで、いっこうに肝腎の検討すべき内容が充分に審議されていない。そんな状態が続いたのちに、与党が期日までに法案をまとめようとするものだから、充分な審議がなされないまま最終的に野党欠席のなか強行採決という愚かな結果に終わってしまう。まず期日ありきの国会審議になってしまっていて、これでは国会の意味がない。与党は始めから、法案を成立させることしか頭にないことがありありと感じられて、必ずしも政府(与党)の意見に反対ではなくても、「ちょっと強引すぎやしないか?こんな状況じゃあ、国会なんてやっても無駄なんじゃないの??」と思えてしまう。おまけに、最近の政府が提案する法案に対しての世論調査では、働き方改革や安保法案の例に見るように、一般国民の意見が政府の意見と大きくかけ離れているといった事態にしばしば遭遇する。それなのに国会の審議と言えば上述の様な状況で、大多数の国民の意見はないがしろで結局政府(与党)の予定した通りにしか事は運ばない。
 そもそも、世論調査による国民の意見と政府(与党)の打ち出す方針がしばしば食い違う(これもある意味、ねじれ国会と言えるのではないだろうか?)ということになってしまうのはなぜだろうか?現在の選挙制度自体も問題かもしれない。が、それに加えて国民が「この政党に任そう」と投票できる政党が与党にも野党にも存在しないからではないだろうか?野党は選挙のたびに離合集散を繰り返す烏合の衆の集まりのようになってしまっていて、おまけに前民主党政権の時の沈滞ぶりをみていると、結局「現与党にしたほうがまだましか」という選択肢しか残っておらず、これでは選挙に行こうという意志もそがれてしまい、あげく低投票率の与党圧勝という結果になってしまう。そんな調子だから、首相はじめそのお友達の内閣の方々は、「おお、俺たちは人気がある!!」と勘違いされ、前述のような強行採決も平気で行うという負の連鎖が続いているように思う。
 さらに、国会議員一人一人の意見は党の方針と異なることも当然あるのだろうが、決議の際にはまず党の方針が優先されてしまって、個々の意見は党利党略のためにかき消されてしまう。それが政党政治なのだと言われればそうなのかもしれないが、これでは結局首相や大物政治家の意見が一般国民の支持する意見とかけ離れたものであっても、周囲の忖度等によって与党の意見として国会で審議され、可決されてしまう。
 このような状況では、国会の審議なんて無駄なように思えてならない。「インターネットかなんかで国民投票をすべての案件について行ったほうがましなんじゃないの?」と思っているのは私だけだろうか?もちろん不正操作やハッキングに対する十分な対策は必要だと思うが、今の世の中無理な話ではないように思う。そうすれば国会議員の数も今のようには要らなくなるだろうし、選挙のための無駄な支出も減らせるし、かなりの歳出削減効果もあると思うのだが・・・。

宝塚市 A.H.