新型コロナウイルスワクチン

2020/12/02

 新型コロナウイルス感染症で令和2年11月末現在、世界の累計感染者数6100万人、死亡者数143万人と拡大している。日本においても累計感染者数145000人、現在の新規検査陽性者数2500人以上、現在感染者数22000人、死亡者数2100人と猛威を奮い予想以上の急激な重症者の増加も認め、医療供給体制に大きな負荷を及ぼし国民生活に大きな影響を与えている。
現在、新型コロナウイルス感染症の様々な種類のワクチンが、早期実用化を目指し国内外でかなり早いペースで開発が進められ、生命・健康リスクの軽減、医療への負荷の軽減・経済の安定のために期待されている。12月初旬には、緊急使用許可にて米国と英国でワクチン接種が開始される。日本においても新型コロナウイルス接種体制確保事業にて、来年初頭には接種を予定している。しかし、現時点での新型コロナウイルスワクチンは開発生産に不確定な要素があり、特性や効果が確立していない。
 特に、臨床試験の詳細なデーターの開示、副作用(副反応)、接種回数と間隔、接種対象者と接種優先順位、冷凍庫での物流や保管、正確な情報提供、接種の際の同意の取得、接種を受ける場所と方法、接種費用等多くの検討課題が存在する。重要なポイントは、感染を防ぐ効果と別に重症化を防げるのか、重症化リスクが高い人(高齢者・基礎疾患を持つ方)にも効くのか、予防効果が長期間持続せず抗体価が低下し再感染はしないか、デング熱ワクチンの時のように、コロナワクチン接種後に感染すると、むしろ重症化するリスクないのか、
特に安全性に関しては、健康な人が対象に接種されることからワクチンの有効性以上に慎重に丁寧な評価が行わなければならない。
 以上のことから、異例のスピードでのワクチン開発の詳細なデーターは未だ未発表なので、欧米での第四相での結果を参考にして有効性と安全性が十分担保されてから接種を開始すべきであろう。現時点では、油断せず、しばらく一人ひとりが基本的な感染対策を続けるしかない。

(加東市 T.S.)