最近の自動運転事情
2021/06/01
2021年3月5日、自動運転レベル3の機能を搭載したホンダ・レジェンドがついに発売された。これは世界で初めてのことです。こう聞いて意外に思われる方も多いと思いますが、
これには自動運転レベルの説明をしないといけません。自動運転レベルは米国標準化団体のSAE(自動車技術学会)が定める5段階のレベル定義を2016年にNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)が採用した結果、SAEレベルが世界のデファクト標準となった。
レベル1は「運転者支援」で、前後方向の加速やブレーキ、左右方向のステアリングのいずれかの車両制御に係る運転操作の一部を実施、具体的には緊急ブレーキなど(フットフリー)
レベル2は「部分的自動運転」と呼ばれシステムが前後・左右の両方の車両制御に係る運転操作の一部を実施、現在一般の人たちがいわゆる「自動運転」と認識されている方の多い多数のメーカーからすでに発売されているものです、例を挙げるとトヨタセーフティーセンス、日産プロパイロット、ホンダセンシング、スバルアイサイト、メルセデスベンツレーザーセーフティーなどがそれにあたります。一部の限定した条件でハンドル操作も不要となるものも見受けられます(例;日産プロパイロットⅡ、スバルアイサイトXなど)が次に述べるレベル3ではなくあくまでもレベル3に近いレベル2と解釈されています。(ハンズフリー)
レベル3は「条件付き自動運転」であり、車両は前後左右とも自動運転され、かつシステムが監視も行う。ただし、システムが対応できない場合、要請によりドライバーに操作が戻されるものだ。この操作が戻されることを「フォールバック」といい、走行中に」ドライバーに運転の主導権が戻されるというのがポイントだ。フォールバックは技術的に難しく、事故責任者がドライバーかシステムであるかは各国の法整備が不十分で運用がまだ限定的でありました。このため、市販車ではまだレベル3が発売されていなかったわけです。(アイズフリー)
レベル4は「高度自動運転」となり限定条件下で運転操作、周辺監視をすべて車のシステムが行い当然事故責任もシステムに帰属する。しかし、大雨が襲うなどのシステムが対応できなくなった場合、リスクが最小になるように車両を停止させる。車両を停止させてから人間のドライバーや遠隔操作に引き継ぐところがポイントだ。(ブレインフリー)
レベル5は「完全自動運転」で、運用制限のない自動運転である。システムからの要請に対する対応が不要、ただし相当の未来にかけて、レベル5がどこでも運用できるケースは想定しづらい。オリンピックの選手村、2025年大阪万博会場などで、実際の運用(自動運転バス)が検討されている。(ドライバーレス)
さて、ここで話題を戻して世界初のレベル3の実現には法の整備が不可欠でありこの部分でも日本が欧州よりも先行することができた。具体的には自動運転レベル3を可能とする技術基準(車両運送法)とドライバーの責任を定める道路交通法は、2020年4月1日に施行された。一方欧州では、国際法(WP29=自動車基準調和世界フォーラム)の施行は2021年1月。結果として現時点ではホンダの新型レジェンドのホンダセンシングエリートがレベル3を正式に認可されており、メルセデス・ベンツ新型Sクラスがこれに続く。しかもホンダとメルセデス以外にはレベル3への取り組みを正式に発表しているメーカーはない。
ただし、ホンダ・レジェンドは日本国内では限定100台がリース販売されるのみ、メルセデス・ベンツSクラスのレベル3もドイツ国内限定となっている。
いずれにしても、誕生から約130年間、人が運転するという大前提で普及してきた自動車が、初めて公道で、コンピューターに運転を任せるようになった。走行可能となる条件は自動車専用道路での渋滞時60km/h以下に限られるものの、自動車の歴史に残る大きな一歩ではないだろうか?何年か後の3月5日は自動運転の日になっているかな?