「写経」の勧め
2023/09/01
最初に断っておくが私は宗教家でも何でもない。個人の信教の自由は尊重されるべきであり、特定の宗派を宣伝する気もない。実家には仏壇があるが天〇宗ではない。以上を踏まえて以下の文章を読んでほしい。
今年の7月1日(土)と兵庫県西部医師会連合会の臨時委員会があって、赤穂郡医師会と相生市医師会の共同でお世話をさせて頂いた。
2日目7月2日(日)のエキスカーションで私は「観光組」を担当した。相生には大した名所旧跡はない。何とかこれまでにない企画はないかと数年前から思い悩んでいた。
私は整形外科医であるので、日ごろ殺生をしていると思う。ここらで反省やら懺悔(ざんげ)もしてついでに「徳」を積むような行いを1回ぐらいしておこうと考えた。そこで考えたのが以下のような企画である。
午前中、書写山圓教寺の食堂(じきどう)で「写経」、その後山内(さんない)の重要文化財壽量院で「精進料理」のフルコースを食し、山を下りて〇サ蒲鉾工場横の「蓮池」を散策して解散するというものである。
ところで「殺生」とは何か。辞書をひくと「①生き物を殺すこと。②むごいこと。非道なこと。」と書かれている。学生の時の講義で外科の教授から「外科の外(げ)は外道(げどう)の外や」と教えられた。「外道」とは①仏教以外の教え。②真理にそむく説。③災難をもたらすもの。等々。とある。
外科系の医者はメスを人の体にあてたところですでに殺生している。内科系の先生方は「そんな殺生してない」といえるであろうか。治療すると称して薬を処方している。この「人に投与して有効な薬」は開発の際に当然動物実験を行う。さらに安全性を確認するために、「催奇形性試験」なるものを行っている。これら実験のためモルモットやマウスなど種々の動物を大量に犠牲にしている。
そう考えると社会医学や行政関係一筋の医師以外は日頃常に殺生していると言える。しかしそもそも医学部を出るまでに、生物学の実習などでカエルなどを犠牲にしているので、多かれ少なかれ殺生の結果医師という職業を手に入れたことに違いない。
写経の目的は修行、功徳(くどく)、供養などいろいろある。
功徳とは①現在、未来に幸福をもたらすよい行い。善行。②神仏のめぐみ。ごりやく。・・・である。書写山圓教寺のホームページには、写経は「供養や所業成就を祈りながら書き写し・・・」とある。
梅雨続きの日々であったが、私の日頃の行いが良いせいか、当日は朝から曇りのち晴れ、山中もそれほど熱くなく、すがすがしい気分で世界平和と兵庫県西部医師会連合会の発展を祈念して写経した。参加者約18名も真面目に写経していた。精進料理のフルコースは美味だが量が多く、残す人や完食して満腹で苦しんでいる人も少なからずいた。なお食器は「書写塗」の骨とう品で国宝級?とのこと。最後に蓮池散策。開花している花も多くて良かった。
参加された皆様は今後幸せな人生を送り、極楽往生され、素晴らしい来世をお過ごしになると思う。
私がこんな小旅行を企画するとは夢にも思わなかった。皆様観光ならぬ「修行」お疲れさまでした。
人生で一度くらいこんな経験、苦行?も良いと思う。 合掌。
(相生市 U.N.)