総合規制改革会議の構成メンバーに意義あり
2003/09/11
小泉内閣の構造改革を具体的に推進する為、内閣府直属の総合規制改革会議が設けられ農業、教育から医療にいたるまで規制の緩和を提言している。特に医療に関しては株式会社の参入、混合診療の解禁、医薬品の一般小売店での販売解禁、医療職の派遣業務解禁を提言している。
この会議の目的はあくまでも規制改革により生活者本位の経済社会システムの構築を目指すことにある。しかしながら、執拗に医療分野の規制緩和を求める彼らの出身母体を見てみると、特定の企業の利益を求めているのではないかと勘ぐりたくなるのだ。構成メンバーの出身母体は次のようになっている。
議長/オリックス会長(医療保険)
副議長/旭リサーチ社長(旭化成の子会社)
委長/リクルート社長、ザ・アール社長、イーウーマン社長、ユニチャーム会長(紙おむつトップ)、古川電気社長、帝人会長(製薬)、ゴールドマンサックス証券ディレクター、森ビル社長、経済研究センター理事長、大学教授(法学部、商学部、情報学)
議長のオリックスは医療保険を販売しており、病院経営にも色気を持っている。株式会社の参入や混合診療の解禁は即ビジネスチャンスの拡大に直結する。
副議長の旭リサーチは旭化成の子会社で、旭化成は医薬品、医療機器部門が稼ぎ頭だ。帝人も医薬品部門があり力を入れている。外資のゴールドマンサックス証券は株式会社の参入で株式発行を引き受けられる。森ビルは都心の持ちビルに株式会社の病院を誘致できる。そして、ザ・アール、リクルートは人材派遣業務を行っており医療職の派遣業務解禁で直接業務拡大が可能だ。このザ・アールの大株主はオリックスだそうだ。しかも、生活者本位の経済社会システムを目指す割には消費者の代表は誰もおらず大学教授も医療や社会保障とは関係ない供給者側の人間ばかりであることがわかる。このような、偏ったメンバー構成は普通の先進国ではありえない。アメリカでは、コンフリクト オブ インタレストといって公的会議の意志決定には利害があるメンバーは排除するのが当然だという。
この規制改革会議がなぜ執拗に医療分野の規制緩和にこだわり続けるのかはあきらかだか、何故か日本のマスコミは沈黙を守り全く関わろうともしない。きっと、広告を出してくれるお得意様の機嫌を損ねたくないのでしょうね。
[ 2003.09.11 ]