後期高齢者医療制度には本音の議論が必要です
2008/08/25
後期高齢者医療制度が始まって、数ヶ月がたちました。この制度については、施行前より批判が強く、それは現在も変わっていません。政府、厚生労働省は批判をかわすため釈明に躍起になっています。いわく、新しい制度を創るのは国民皆保険を守るためです。保険証が変わるだけで、利用できる医療機関が制限されたり、医療の内容が制限されることはありません、等々。
しかし、何も変わらないのであればなぜこれほど批判の強い制度を取り入れる必要があるのでしょうか。百歩譲ってとりあえずは大きく変化しないとしても、近い将来、高齢者の医療費を削減するための、医療を制限するためのトロイの木馬なのではないですか。
確かに、医療には莫大な費用がかかることは事実です。大企業の健保組合の中にも高齢者医療への拠出金を嫌って解散する動きもあったり、世界でも一二を争う自動車メーカーのGMが破綻の危機に瀕している原因のひとつは従業員の医療費負担にあるということも耳にします。医療費に多くをつぎ込むと経済の発展に支障になると主張する人は、いわゆる知識人の中にも少なくありません。
この問題は単に高齢者にどれだけ医療費の予算を割くかにとどまらず、いつかは誰にも訪れる高齢期、その世代をいかに処遇するか、国としてのスタンスを問うことでもあると思います。どの道を選ぶかは議論を尽くした上で国民が決めることでしょう。偽りのない情報の開示は不可欠です。この制度を進めると後期高齢者の医療は大きく低下せざるを得ません。それを認めたうえでないと実のある議論は始まらないのではないでしょうか。ツ黴
(姫路市 H氏)
[2008/8/25]