レセプトオンライン化??
2009/03/16
私が通院している医院の壁に貼ってあるポスターに「レセプトオンライン請求の義務化反対」と書かれていました。“レセプト”という単語は、よく新聞や雑誌で見かける事があるので、いわゆる“医療機関がそれぞれの患者の医療費を請求するための明細書”の事だとは分かったのですが、そのオンライン化という内容がピンと来なかったので先生に尋ねてみました。
「レセプトのオンライン化と書いてあるのはパソコンで医療費を請求する事ですか?」
「今までは、レセプト用紙という紙に記載して医療費を請求していたのですが、ほとんどの医療機関は来年の4月から“紙”ではなくて“インターネット”を介して医療費を請求する事になっています。」
「その事を医師会が反対しておられるのは、どうしてなのですか?素人目には便利な事だと思うのですが?」
「まず、レセプトオンライン化に対応するためには、各医療機関とも数万~数百万円の多額の費用が必要になります。そのため、医師自身が高齢であったりする場合など諸般の事情で、レセプトオンライン化に対応する事が不可能な医療機関が出てきます。日本医師会のアンケート調査では全国の約1割の医療機関が対応不可能であり、現在の厚生労働省の指針では、そうした医療機関は廃院せざるを得ないのです。ただでさえ地域医療を支えてくれる医師数が不足している現況をさらに破綻させてしまう事が必至だからです。」
「そうした医療機関さえ助ける事が出来れば、レセプトのオンライン化は問題ないのですね?」
「このレセプトオンライン化の最大の問題点は、国が各個人の医療情報を完全に掌握して、全ての医療政策を国の方針通りに押し進めていく管理医療に繋がりかねない事です。昨年始まった特定健診・特定保健指導のデータと、このレセプトのデータとを合わせれば、各個人のかなりの医療情報が国に把握されてしまう事になります。だからこそ、医師会は、このレセプトオンライン請求の義務化に反対しているのです。」
この大不況の中で、リストラの嵐が吹き荒れている昨今の状況から考えると、派遣社員を切り終わった後は、今度は正社員とても安泰ではありません。そうすると糖尿病や高血圧や高脂血症などの、いわゆる“メタボ疾患”の多い都道府県は国から大きなプレッシャーを掛けられる事は容易に想像できますし、会社でも医療費の掛かる社員は真っ先にリストラの対象になるかも知れません。いや、それどころか健康保険料でさえ、いずれ自動車保険のように保険を使った額に応じて保険料がスライドして上がっていく様なシステムに改められるかも知れないと考えると、不安で一杯の今日この頃です。
(神戸市 M 自営業)