シルバー民主主義
2015/05/25
昨年末の「アベノミクス解散」は「増税先送り解散」とも言われ、消費税増税の一年半延期の是非を問う選挙でもあった。確かに、増税による更なる景気低迷への回避、という見方もあったが、総選挙の集票目当てとの誹りを拭うことはできない。結果として社会保障充実のための税収が4500億円も減少してしまった。昨年11月の医療保険制度改革案草案の公表中止も同様である。後期高齢者医療制度の保険料軽減の特例措置を段階的に廃止し、高齢者の保険料負担を増やす内容で、安倍総理自らが閣議決定された骨太の方針「経済財政運営と改革の基本方針2014について」の中で、負担増の必要性を訴えていた重要案件であった。結局のところ、選挙で投票率の高い高齢者、「シルバー民主主義」に配慮して草案発表を中止したのである。選挙での集票のために医療や介護政策がこれ以上翻弄されることを避けなければ、高齢化社会での世代間格差是正の実現はない。世界一の高齢国の日本が率先して「シルバー民主主義」を克服しなければ。
(西宮市 K氏)