介護保険の行方
2015/06/10
介護保険の行方を左右する厚労省介護保険給付部会の議論では4つの方向性が示されています。
一番目は、リハビリの到達点の変更です。いままでは、とにかく機能の回復をめざしました。動かない手足を何とか回復させようとしました。これからは、機能回復訓練は短期間となり、回復より社会参加が目標となりました。車いすから立ち上がる事より、車いすで社会活動に参加させることが求められることになりました。リハビリの理念の放棄につながります。
二番目は、介護の重症度によって報酬を決めることになります。今までのように、軽症を在宅で介護して、重度になれば施設にというわけにはいきません。これは、重度でも在宅にいさせることを介護業者に強制させることが目的です。
三番目は、施設に看取りを強制させることです。とくに特養やグループホームの利益率は高いので、この二つが狙われています。看取りをしないと、介護報酬の減額です。特養やグループホームに希望に添える看取りができるのでしょうか。
四番目は地域包括ケアを進めるために、個人ケアより地域ケアという概念の導入です。現在は、個々のケアプランのみにそって介護が行われます。これからは、地域包括ケアに合わないケアプランは認められない事になります。例えば週に2回訪問介護のプランを作っても、地域全体として予定オーバーとして1回に減らされることになります。地域単位の定額制につながることになります。
以上4点が介護保険では真剣に審議されており、この方向性はほぼ固まりつつあります。すべて社会保障の削減が目的です。
(神戸市長田区 K氏)